HAPPY SWEET ROOMT------18 本音と駆け引き
HAPPY SWEET ROOMT
18 本音と駆け引き
「ありがとう、有ちゃん」
「ありがとうだなんて……」
困り顔の有奈ちゃんに俺はにっこり笑いかけた。
「チャンスくれただけでもうれしいからさ。俺の人生初告白が有ちゃんでよかったよ」
「いいともダメとも言ってないのに?」
「うん。それに、有ちゃんなら残念な結果になったとしても、これまで通り友達でいてくれそうな気がするから」
俺がそう自信満々に言うと、有奈ちゃんはちょっと恨めしそうに笑った。
それからはショップを出て軽くお茶をして、帰りは駅まで送ってくれればいいという有奈ちゃんを見送って別れた。さすがに告白直後は俺にどう接すればいいのか迷うような素振りを見せていた有奈ちゃんだったけど、できるだけ俺が何でもない風に自然な態度でいたことが功を奏したのか、強張った様子もしだいに軟化して、なんとか別れ際にはビフォーな状態にまで戻ってくれた。
電車の中からバイバイと手を振る有奈ちゃんの姿が完全に消えた後、俺は改札を出てとぼとぼと帰路に着く。本当は有奈ちゃんと同じ電車に乗って帰ってもよかったけれど、彼女の気持ちを考えれば控えた方がいいだろうと、連れの家に用があるからと言って一人で帰ってもらった。初めてのデートで家まで送らないというのはあまりよくないとは思えてもこればっかりは仕方がない。
「やっぱり急だったかな……」
今日の告白劇を思い返した。ロッセに話したらあまりの不首尾さに笑われてしまいそうだ。ショップで服を選んでいる最中で、店員や他の客がいるなかマジ告白って、普通に考えればありえない気がする。でも、今のところ後悔はない。一歩踏み出したことで、良くも悪くも事態は進んでゆくだろうから、意外に胸はすっきりと落ち着いていた。
「とはいえ、ロッセのことがなけりゃもっとシンプルに今の状況を楽しめたんだろうけど、ね……」
でも、いくら好きでもけっきょくロッセは異世界人だし男だし、先が見えない不安には抗えない。その点、有奈ちゃんは同じ世界に生まれていて日本人だし、価値観もロッセより格段に近く、かつ女の子(ここ重要)だ。そう考えてみれば、もしかすると俺は楽な方へ気軽な恋愛の方へと流されてしまっているのかもしれない。だとしても、どちらを選ぶのが正しいのかもわからない。
たぶん俺は初めての恋愛に失敗したくないんだと思う。ずるいのも重々わかってる。けれど、恋の駆け引きなんてものは皆やってるものだから。だから、俺も……。
「ただいま」
考えながら歩いている内に、気づけばアパートに着いていた。
「おかえり。思ったより早かったな」
ロッセがこの時間に珍しくソファでくつろいでいる。部屋の明かりがついていたからロッセがいることは判っていたけれど、仕事で不在のことが多いからロッセの『おかえり』はちょっと貴重だ。
「うん。早めに別れたから」
答えになっていない曖昧な言葉で答えながら、ジャケットを脱いでハンガーに掛けた。そして、キッチンに立って水を入れたやかんに火をかける。
「なんだ、上手くいかなかったのか」
「ううん。ちゃんとロッセの言った通り、思い出に残る初デートってやつをやったつもりだよ。最後には告白もできたし、あとは相手の返事待ち、かな」
「そうか……、よかったな」
どこか心ここにあらずな返事に気になってリビングを振り返れば、ロッセはなにやら真面目な顔してテレビのニュースを観ている。
「ロッセのおかげだよ。ありがと」
「……いや」
一緒に喜んでくれるんじゃないかと思っていたのは俺だけだったらしい。興味がないというよりかはまるで上の空だ。
キッチンの椅子に腰かけてそんなロッセを見守っていると、シュンシュンとやかんが蒸気を吐き出す。火を止め、マグカップ二つにドリップ用の豆入りフィルターをセットすると、そこにお湯を注いだ。途端に部屋全体がコーヒーのいい香りに包まれる。
「私の分は――」
「もちろんあるよ」
やっとロッセが俺の方を向いて、口角を引き上げた。
簡易のドリップだけどじっくりコーヒーを落としてロッセに手渡す。そのまま俺はロッセの隣に腰かけた。
「今日はどうだった」
カップに口をつけながら聞かれて、俺はまあまあだったと無難に答える。ロッセの片眉がおや?といった具合に持ち上がった。
「何か不具合があったのか」
「そういうんじゃないけど……。ただ、ちょっと……、告白を早まったかなって」
「好きなんだろう? 思い立ったが吉日だ」
「うん……。言ってスッキリしたって気持ちも確かにあるよ」
「そのわりには浮かない顔だな」
確認するように顔をじっと見つめられて、そうかなと頬を撫でてみる。別にいつもと変わらないとは思ったけど、デート自体は上手くいったから問題ないと言って微笑んだ。
そして、一つ息をほっと吐くと改めてまだ訝しそうにしている顔を見上げた。
「ねえ、ロッセ……。もしさ、俺が彼女とつき合うようになったらどうする?」
さりげなく今一番ロッセと俺にとって直接的な問題を口にしてみる。これはずっと気になっていたことで、もし有奈ちゃんとの恋が成就すればロッセはどうしたいのか、彼女にいい返事をもらえると仮定してその前にぜひ聞いておきたかった。
「どう、とは?」
ちらりとロッセの視線が口をつけていたカップから俺へと逸れる。
「とりあえず……、エッチできなくなるだろ? 彼女に悪いもん」
気まずくなりながらチラチラ様子を窺いつつ言えば、ロッセは僅かに目を見開いてクックと喉を鳴らした。
「なんだそれは。つき合う前からもうそんな心配しているのか」
「だって……、家賃もらえなくなるじゃん」
もっともらしい風に言うと、ロッセは笑ったままゆっくりとカップをテーブルに置いた。不意に艶やかな眼差しで見つめられる。
「確かに、それは私も困るな……。だが、支払いと浮気は別だろう」
「……やることは一緒じゃないか」
「では、静太の思う浮気となる基準はなんだ」
「基準って……」
同居はともかくベッドを一緒にしている時点ですでに二股になってしまうのでは……。
真剣に悩んでいると、いつの間にかロッセの体が俺の方へと傾いていた。
「ハグは問題なさそうだな。キスは……?」
思わずビクッと肩が震えて、手の中にあるコーヒーが大きく波打った。それを見咎めたロッセにそっとカップを取り上げられる。その間ロッセの瞳から逃れられなくて、視線に捉われながら、テーブルとカップが当たる音を遠くに聞いた。茫然となっているなか、ロッセの瞳がそれと判別できないくらいに近づいてくる。
「んんっ……」
キスしたら拙いことになると心の中で分かってはいても、麻酔でも打たれたみたいにカラダが動かない。
「キスも構わないようだな……」
うっとりとした甘い声にも否定できなくて――。ロッセは俺に覆い被さっているだけで、拘束はされていないから抜け出そうとすれば出来るはずなのに……。
「……これはどうだ」
「む、ん……っ」
戸惑ううちに舌が歯列を割って入ってきた。逃げようとする舌を追いかけられて絡め合えば、自然と唾液が喉を通ってゆく。塞き止めたくても飲み込むしかなくて、キスで呼び覚まされた欲がカラダの奥底からだんだんと湧き広がる。やっと唇が離れた時にはもう後に引き返せないほど、このまま抱かれたいという思いで占められていた。
「ずる、い……」
声が喉に引っかかりつつも抗議すると、ロッセが悪戯っぽい瞳でフッと笑う。
「セイタが望んだことだろう?」
「ちが」
「違う? こんなになっているのに……?」
ロッセの手が俺の腹を滑り下りた。パチンとボタンが弾ける感触がして、ジーンズの前を寛がされるとゆるく勃ち上がったモノが外気に晒される。
「い……、あ」
もどかしい感じに上下に扱かれて、唇を噛んで耐えていると、再びロッセがキスを落としてきた。噛むなと舌でぬるりと舐められて、唾液が滴る音に耳の奥を刺激されれば、それに反応してロッセの手の中で欲が大きく膨らむ。あまりに従順な自分の反応に、顔が火照って仕方がない。
「まだ、拒むのか」
一気に涙腺が緩んだ。ロッセがここまで俺を追い込んだというのに、引き返せないところまで追いつめたというのに、何を改めて言ってんだと思う。今だって手の動きは止まないまま、俺は身を震わすばかりだ。
「そんなにも彼女のことが気になるのなら……」
近過ぎて輪郭のぼやけていたロッセの瞳が、はっきりとするくらいにまで離れ視線が交わった。その瞳が甘く揺らめく。
「……つき合うことになる前にまとめて支払うとしよう」
耳元で囁かれてそのまま項にロッセの頭が埋められる。服の裾から手が忍び込んできて、素肌を晒されたあちこちにキスをされながら、徐々に俺のカラダを下りてゆく。喉仏や鎖骨で遊んだ唇が、胸でいったん止まって乳首に歯を立てられた。
「や、ああ……」
ぷっくりと先が勃ち上がって、それを解すように舌で舐められて、カラダの芯にある何かがじくじくと蠢き出す。
「く……、くるっ」
ああ、ダメだ……、この感覚……。これを迎えてしまったら本当に引き返せなくなるのは解っているけれど、愛撫を続けられてしまってはもう無理だ。
俺はやっと観念して、ロッセの頭を抱え込んだ。
「セイタ……」
ロッセが再び俺に口吻けてくる。
「今日はどこまでもつき合ってやる」
俺はこくこく頷いて瞼を上げた。ロッセと視線が合って優しく微笑まれる。すると、ロッセは身を下げて一息に俺のを口に咥えた。
「やああっ! ま、まって! ロッセっ」
零れそうな雫を鈴口に押し戻すように舌を押し入れられて物欲しげに喉が鳴った。恥ずかしくてたまらないのに気になって見下ろすと、ロッセはにやりと口を歪めて俺を見つめたまま根元の方までヌルリと飲み込んだ。
「う、あああああっ」
きつく閉じた目から涙が弾けて、びくんびくんと腰が揺れる。すかさずロッセの手が動いて尻を剥かれると、後ろの孔に指を突き入れられた。口の動きと共に敏感なところを揉まれて、腰が勝手に浮いてしまう。
「ロ、ロッセ!! も、もうっ、あ、ああ……っ」
上下運動が早まって、俺はあっという間に飛んだ。
「はあ、はあ……うっ」
でも、ロッセの動きは止まなくて、最後の一滴まで絞りとられたために軽くまたイッてしまう。
「まだ元気だな」
やっと口を離したロッセはフゥと俺のに息を吹きかけた。
「やっ……」
「そう睨むな。気持ちよかっただろう」
涙目で睨んでも効果ないとは分かっていても、今の俺にはそれが精一杯の抵抗だ。けれど、いまだ腹の中に入れられた指を動かされれば、呆気なく陥落するばかりで……。
「あ、あん、あん、ああ……」
指が二本、三本と増やされてゆく。快感でわけが解らず乱暴に身を捩るけれど、もちろんロッセは愛撫をやめようとしない。逆に暴れる足を引っ掴むとソファの背に掛けて磔にした。
「こ、これやだっ!」
俺は羞恥で咄嗟に股間を手で覆った。内腿を抑えつけられた大股開きの状態で、これじゃまるで食ってくれと言わんばかりだ。
「隠すな。そっちの方が卑猥だぞ」
「も、もう逃げようとしないからっ。手、はなしてっ」
「そう言っても逃げるだろう? お前は」
ロッセの指が中でヌチヌチと動く。そうされれば俺の腰は勝手に動いてしまう。
「や、や、ああっ。だって、しょうが、な……」
「そうだな。仕方がないからこのままだ」
「ち、ちが……っ」
不意にロッセは身を離した。上下にカラダを入れ替えて、ロッセの上に俺が寝そべる形になる。
「セイタ。腰をこっちに……、私のを咥えてくれ」
カッと頬が火照ったけれども、俺は素直に頭を下ろした。
――シックスナインだなんて俺には難度が高すぎるよ……。
ロッセの顔の前で自分の秘部が晒されると思うと本気で逃げ出したい。でも、がっちりとロッセに腰を抱えられた状態じゃどうにもできなくて、けっきょく俺は大人しくロッセのを口に含んだ。
「んん、ん、ん」
ロッセのはもうビンビンに勃っていて、大きいそれを半分口に入れただけで口の中はいっぱいだ。それでもなんとか窪みを舌で舐め上げる。すると、俺を煽るようにロッセに袋をぐちゃぐちゃに揉まれた。俺も負けじとさらに奉仕する。
「な、なに……っ」
けれど、ぐいと力強く腰を掴まれてロッセのが口から抜け出た。ロッセに袋を口吻けられたかと思うと、舌が割れ目を滑って孔に辿り着く。そして……。
「あ、ああああああっ」
喉が引き攣れた。
「やだっ。それはやだ! ロッセ、おねがいっ!!」
ロッセの舌が内壁を撫でる。指で孔を左右に引っ張られて、舌が縁を滑っては中に入ってゆく。舌と内壁と、柔らかいもの同士擦れ合うのは、強い刺激でというよりかはもどかしさと羞恥で頭がどうにかなりそうだ。
「ロッセ、も、もうっ、入れて! おねがい、入れてっ」
逃げようと尻を振ると、ロッセの舌が柔らかな肉に当たって、ビクビクと感じてしまう。
「もう入れている」
「そ、そうじゃな……いぁああっ」
ロッセは尻を掴んで両側に押し開くと、俺の言葉に当てつけるように舌を出し入れし出した。指のフックが外れたために、内壁が浅ましく舌を締めつける。よりリアルな舌の感触に、じわりと涙が溢れた。
「……だったら何を?」
言って言えない単語じゃないけど、完全にからかっているロッセに言いたくはない。俺は入れて欲しいソレを掴むと、必死になって唇を這わした。
「これ、これが……、いい」
ようやく舌を抜いたロッセは、今度は袋を甘噛みしてくる。腫れあがった袋を面白げに弄ばれる。
間断なく責められて、俺はすっかり力の抜けたカラダをべったりロッセに横たえた。
「ゴムを被せてくれるなら入れてやろう」
ロッセの指がまた孔をくすぐるようになぞる。
「あ、んっ、ご、ゴムって……」
さっきまでは、舌を入れられるよりかはまだこっちの方がましだと思っていただけだったのが、いまやヒクヒク収縮している孔に早くロッセ自身を入れて欲しくてたまらない。
「コンドームだ」
あっさり分かり切ったことを言われてむっとなる。
――そうじゃなくて、いつもは生なのに……?
俺がそう思ったのを感じとったのか、ロッセは艶めかしく微笑んだ。
「剥き出しの方が良かったか」
「な……っ。ゴム貸せよっ」
思わずムキになって言い返せば、ロッセは俺を抱いて立ち上がった。
「ちょっ、なんなの」
「ここにはないからな。ベッドに移動だ」
ロッセは俺をベッドに落として、傍に掛けてあったジャケットを漁った。
「も、持ち歩いてんのかよ……」
「いつでもセイタの期待に応えたいからね」
しれっと言われて俺の方がまた顔を赤くする。さらにゴムを手渡されてひときわ火照った。なんせ、初めての相手がロッセだったもんだから、まともにそれを使ったことがない。俺は緊張しつつもセロファンの隅を指で引き裂いた。中身を取り出して恐る恐る固く勃ったモノにそれを覆い被せてゆく。根元までしっかり被せて俺はロッセを見上げた。
「セイタ、続きを」
続きって……、さっきのアレだよな……。
「……上から……?」
「そう、上から。ゴムだから濡れていないと肉を巻き込む。セイタも痛い思いはしたくないだろう?」
ロッセが手を伸ばして孔に指を引っかけると、そこをくいと広げる。
「あ、ん……。は、はやく」
「ちゃんと入れるから、その前に、さあ」
俺は渋々また咥えた。舐めながら不思議な感覚に囚われる。口に入れるのにも余るくらいに大きいのに、これがあの小さい孔に易々と入ってしまうなんて、自分のカラダの柔軟さに少し呆れる。
「セイタ、次はこっちだ」
必死に唾液を絡めていると、ロッセに足首を掴まれて、カラダを移させられた。
「ろ、ロッセっ? だ、だからっ、それヤダって言ったぁ」
「いいから、おいで」
せっかく言われた通り舐めてたのに、仰向きに寝かされて高く腰を持ち上げるように抱えられる。腰にロッセの息がかかれば何をされるのかは判り切ったことで――。
「やだ、やだああっ」
再びロッセの舌が中に入ってくる。足ごと腰を抱かれているために、少しもカラダを動かすことができない。されるままに快感を受け入れるしかないなんてものすごくつらくて、でもそれと同じくらいイイ。
「あ、あん、あっあっ、ロッセ、ロッセぇ」
ロッセの舌は何の躊躇もなく円を描くように孔の周りをくるくる舐め、時折り奥の方まで差し込まれる。生ぬるい唾液が中まで流れ落ちては、俺は喘ぎ声をあげると共に身を捩った。天を向いた前から早く入れてくれと言わんばかり泣くように、後から後から雫が漏れては糸を引いて滴る。
「……これくらいか」
ロッセは舌を外すと、指を深く差し入れてぐちゅぐちゅかき混ぜた。
「ん、んんんっ。はあ、はあ」
粘液が絡まって立てる音はあまりにも卑猥だ。
やっと指を抜かれて、涙でぼやけた瞳でロッセを見れば、ロッセは俺のカラダの上に乗り上がって、膝裏をベッドに押しやった。自然と腰が浮き上がって膝立ちのロッセの股間が当たる。
「も、もう……」
期待を込めて、でもやや控えめに言うと、ロッセは「待たせたな」と笑い、腰に宛がうと一気に俺を突き上げた。
「あああああっ!!」
衝撃でカラダが歓喜に震えた。中心から湧き起こった快感が、四肢の末端まで行き渡って痺れるのを感じる。ズンズン突かれるたびに視線さえも揺れて、視界までもがぼやぼやだ。
「こ、こわっ、こわい、ロッセぇ」
泣きじゃくって言うと、ロッセがキスをしてきた。懸命に舌を絡めて、ロッセの動きに合わせる。
「ふ、ん、んんっ」
「気持ちいいか、セイタ……。ここは?」
「えっ、あああっ、いい、いいぃ」
角度を変えてイイところを思い切り突かれて、顎がくんと上がる。激しさに背に当たるシーツが捩れて、折り重なった一部を噛んで耐えた。
「ロッセ、そ、そんな、され、たら……っ。う、ああん」
「もうイク、とか?」
「うん、うんっ」
必要以上に頭を振ってせがむと、ロッセの腰がぎりぎりまで引かれて、そして奥の奥まで入ってきた。あまりの衝撃に目を見開いたら、ベッドの半ばくらいにあったはずの俺のカラダは、ヘッドボード間際まで迫っていた。
「あ、あ……、……っ、……っ」
トプトプと時間をかけて精液が溢れ出る。イッたのに後を引く快感が腰にきて、卑猥な動きが止まない。
「大丈夫か」
ロッセは俺からズルリと出てゆくと、ティッシュで拭って上に覆い被さってきた。
「お、おれ……、なんで……?」
やや身を起して、茫然とした俺の瞳を覗き込む。汗で濡れた髪を撫で上げた。
「どうした」
「意識が……」
口にするのはどこか気恥ずかしくて俺は頬を赤らめて俯いた。
「ああ、意識があるのが不思議か」
戸惑いつつロッセを見上げる。いつもなら、ロッセがイクと俺は意識が混濁して今ごろ夢うつつの状態になるはずだ。なのに、今日は割合頭がはっきりしていて、その分自分が受けた感覚がいつも以上に生々しい。
「今日はゴムを付けただろう? だからだ。私の精を直接注いでいないから、いつもより媚薬効果が薄いんだ」
「そうなんだ……。って、な、なんで」
「『どこまでもつき合う』と言ったのはそういう意味だ。いつもは意識が飛んで最後まで楽しめないだろう、お前は」
「な、な……」
さらりと言われて絶句する。
「さあ、これで終わりではないぞ。セイタ」
「な、や、やめ、ロッセ! おれ、もうこれで、じゅう、ぶ、ん……ああっ」
さっさとロッセは新しいゴムにつけかえて、俺に圧し掛かると潤んで柔らかく解れた尻に自分のを入れてくる。信じられないくらいに簡単に入ってしまって、ゾワゾワと背筋に快感が走った。
それからはされるがまま、ロッセの上に下にと様々な体位でためされて、その度に過度な刺激に俺は泣くばかりだった。そして、最後には――、
「ロッセ、なか、中に出して! おね、おねがいっ。ゴム外してぇ……、あああ、ん、ナマにしてぇ」
……なんて、自分でびっくりするくらい卑猥な言葉を叫びまくっていた。だってさ、意識が無くなってしまった方が、自分の痴態にまだ言い訳できるじゃないか。わけ分からなくなってしまえば、快感も素直に受け入れられるしさ……。
とりあえず……、そういうことにしておいて、頼むから……。
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