HAPPY SWEET ROOMT------13 ベンチシートの危険性

HAPPY SWEET ROOMT

13 ベンチシートの危険性

BACK | NEXT | INDEX
その見慣れたロッセの表情のせいで、背筋にゾクゾクと毛皮で撫でられたような痺れが走る。腰までも砕けそうになって、これではパブロフの犬もいいところだと心のなかで叱咤するも、湧き上がる期待感から逃れられない。案の定ロッセはなんとか逃げようと引き下がる俺を、車体まで追い詰めて両手に囲んだ。
「もう目が潤んでいるぞ」
からかい含みに言われて、羞恥に顔を逸らす。けれど、ロッセは俺の顎を引き上げて、キスする体勢で覆いかぶさってきた。
「待て待てっ!」
ロッセの目論見なんてとっくに知れている。確かに俺がここで気を失ってしまえば、ロッセがどんな運転をしたとしても、俺は怖い思いをしなくて済むし騒ぎ立てることもないだろう。でも、俺としてはもし万が一なにかあったらと思うと、逃げられないわ助言はできないわで……、なにもできない状態に身がすくむ。
「は、放せって! か、帰りは大人しくしてるからっ」
俺なりにかなり殊勝に言ったつもりが、ロッセは神官らしからぬ悪意ある笑みを浮かべたままドンドン俺に迫ってくる。追い込まれた荷台に腰が当たり、ロッセを避けようとエビ反りになるけれど、カラダが固くて即限界、とうとうロッセの唇が降りてきて……。車と大きなカラダに包まれた俺は、身動きをまったくとることができず、ロッセの思うままに唇を食われた。
「んんっ、ん……」
喉に沈んだ舌を奥から引っ張りあげられ、エロエロしい水音を立てながら舌を絡め合わされる。
「や、め……」
飲みたくないのに、真上から垂直に貪られるキスのせいで、ロッセから送られる唾液が次々喉を伝っていく。しまいに追いつかなくなって、口の端から零れ落ちた。
「けほっ、もっ、無理……っ」
あまりの執拗さに音をあげて、ようやくロッセは名残惜しそうに唇を食みながら離れた。けれど、そのときにはもう腰どころか膝もガクガク、ロッセにすがりつく手にも力が入らなくて、腰を支えられなければ立ってもいられない。
「バ……カヤロ」
「憎まれ口叩く余裕があるのか」
また口の端で笑われて、ぐっと押し詰まる。くやしくて睨みつけるけれど、ロッセは飄々として俺を軽々抱きあげた。まるでサルやコアラをだっこするように、だ。抵抗したくてもすっかり力が抜けた状態では、広い肩にもたれかかるのに精いっぱい。
立派な弱い者いじめだぞ! ちょっとうるさかったからって手ごめ作戦かよっ、とっとと下ーろーせー!!
口で言うだけの余裕がない俺は心の中で暴言を吐くが、もちろんそれがロッセに通じるわけもなく、ヤツはさっさと俺を助手席に乗せると、反対側に回って自分も車に乗り込んだ。
俺がゼーゼー荒い息を吐きつつシートにもたれていたら、ロッセに肩を引き寄せられて再び唇を押しつけられる。この車は軽トラと言ってもベンチシートになっていて、運転席と助手席が独立していない。だから、簡単にロッセ側へと出張できてしまい、ロッセのなすがまま腑抜け状態の俺は身を任せるしかなかった。

「さて……」
たっぷり快楽のモトを飲みこまされた俺は、ロッセの瞳をぼんやり眺める。ロッセは俺の頭を唇から引きはがして自分の肩に乗せた。少し身じろいでベルトを外し、ジリジリとジッパーをおろす音が聞こえてくる。いつもの行動パターンから俺のを下ろしているのかと思ったらロッセの方で、現れたアソコはすでに半勃ち状態だった。見たくないのに視界に入って、なんとも言えない微妙な気分になる。
「あの……」
妙に不安になってロッセの顔色をうかがう。けれど、ロッセは俺の視線に気づいてるはずなのに無言で、おもむろにうなじに手を置くと、俺の頭をゆっくりと下にずらしてゆく。徐々にロッセの腹に近づいていって……。
……これって、舐めろってこと――?
ふわっと甘いような生々しい匂いが鼻をくすぐり、心もとなくロッセを見上げる。ロッセはただ笑みを浮かべて俺の頭をやんわり撫でた。
甘ったるい仕草なのにどこか抵抗できなくて……。
そのとき、不思議とさっきまで俺のなかにあったはずの羞恥心は遠くかなたにすっ飛んでいったらしい。ロッセに見守られながら俺はごく自然な感じで、躊躇なく口に含んでしまった。
「は、んんっ、ん……」
ロッセにされるように、思い出しながら舌を懸命につかう。裏筋をゆっくり何度も舐め上げて、プクリと溢れた先走りをまた中へ押し戻すように舌を鈴口に差し入れて浅いところまで……。カリの周りも口で咥えて唇が引っ掛かって気持ち良くなるように先の方だけを数往復。だんだんとロッセのソコが大きくなってフルサイズになったところで俺は一気に喉の奥まで飲み込んだ。口をすぼめて滑らせて、時折ロッセのがヒクついて、そのたびに俺の頭を撫でたままの手が無造作に髪を掴む。ああ、感じてくれてるんだと思えば、ワケもわからず闘争心が沸き起こって、俺は自分でも信じられないほど行為に夢中になった。
そして――、
「……セイタッ」
鋭く呼ばれて、口の中の質量がぐんと大きくなった途端、ビュルッと噴き出した。
「ぐ、んんっ、ふっ」
濃い液がのどをどろりと流れる。
きゅ、急に出すなよ――!!
思わずむせて、けれど吐き出そうにも手元にティッシュがない。とりあえず口を外そうとそろそろ棒を移動すれば、ロッセの熱い吐息が髪を揺らした。
「セイタ……そのまま飲んで」
――の、飲ん……!?
ぎょっと動きを止めて、先を咥えたまま目いっぱい頭を振った。
無理っ! ぜったい無理だから!!
そしたら、ロッセが俺の頭を強引に上向かせる。アソコから口が離れて、防ぎきれなかった精液が唇を濡らした。
「飲めるだろう?」
色っぽく頬を上気させたロッセの顔が近づき、ただ吸い込まれるように紫色の瞳を見つめていたら、そのまま唇が重なった。
「んんんっ!」
肉感的な唇が俺のを舐めとるように深く口づけてくる。
じ、自分のを自分で――! 変態ーっ!!
あまりのことになんとかロッセを引きはがそうとするけれど、後頭部をしっかり抑えつけられては身動きなんてとれない。キスに気をやっている内にいつの間にかロッセの手が俺のパンツのなかに忍び込んできていて……。いきなり中身をキュッと握られた。
「ふ、んんーっ!!」
駆け抜けた快感に驚いて、喉に留めておいた精液がゴボッと鳴り、反動でそのまま飲みこんでしまった。
「……ぁああ」
キスで精液分け合ってしかも飲んじゃうなんて……、サイアク。
ショックで茫然となる俺の背をロッセがぎゅっと抱きしめた。次いで、まるでよくできましたとでも褒めるようにさすられる。
ぜんっぜんうれしくないし……、むしろ人生の汚点だ……。
精魂果ててなんとはなしに宙を見つめていると、次第に腰から全身へゾワゾワと血が沸き立ってゆく。ロッセの、背をさする機械的な手の動きでさえ快感を刺激されて、俺はそれから逃れるように目をきつく閉じた。でも、声までも押しとどめることはできなくて、勝手に喉から吐息交じりの喘ぎ声があふれる。
「ぃゃ……ぁ……」
気づかないうちに前もパンパンに張っていた。
なんで――?
ロッセに後ろから挿れられて、なおかつ中出しされたときの感覚がカラダを充満して困惑する。急激に押し寄せる快感に戸惑ってロッセに顔を向けると、ロッセはしてやったりとでも言うような笑みを浮かべた。
「少々狭いが膝を貸してやる、家に着くまで眠っておけ」
「ぇ……」
ロッセにそう言われたものの、少し触られたり揺れたりしただけで感じてしまう状態なのに、ぐーぐー眠れるなど考えられない。
こんなになったのはロッセのせいだと言うのに――。
なんでそんな突き放すようなことを言えるんだと思う。こんなんじゃ大人しく寝るどころか、変な動きをしてかえってロッセの邪魔をしてしまうじゃないか。
自分ではどうもできない状況に、俺はロッセをすがるように見上げた。
たとえ本意じゃなくてもこのまま一時間以上放っておかれるなんて耐えられない……。
「ロッセ……」
ロッセの瞳をじっと見つめて、思いをぶつける。
このままじゃ無理だよ……。イキたい、イカセテ……?
けれど、俺の必死なお願いに対して、ロッセの口から出た言葉は「一時間で着くからそれまで我慢しろ」などとすげないものだった。
無理だから言ってるのに――!
視線をきつくして睨んでも、ロッセは苦笑を返すばかりだ。そして「いつも気をやってしまって忘れているようだが……」と前置きして、俺にとっては衝撃的なことを口にした。
「後ろに挿れるとお前はイキっぱなしになってしまうだろう? ここには前を塞き止める道具もなければ、タオルもティッシュもない。それに、咥えたら咥えたでお前は『挿れてくれ』とせがむじゃないか」
「だ、だだ……っ」
だから、家に帰るまで我慢しろってぇ!?
俺は羞恥で全身を真っ赤に染めた。

――そんな淫乱みたいに言うなぁあああっ!!!

……と、心の中で絶叫する。
確かにエッチの間のことは気が飛んでしまって記憶も飛んじゃうことがあるけど、わざわざ言うことじゃないだろっ? それに家や車じゃなくてもホテルがあるじゃん!!
……あ、でもこいつのことだから無駄遣いするなとか言いそー……。
でもでもっ、やる気満々でここぞというときだったら普通そんなこと考えないだろっ。
……いや、異界人のこいつに日本男児の常識は通用しないかー。
って、ほんとにホストかこいつっ!? そういや、村瀬さんが天然なところがモテてるみたいなこと言ってたっけぇ?
天然でホストで放置プレイってどういうことよっ!
(以下かなり混乱……)

だーかーらーっ、どうしたらいいんだ俺は――!!!
自分で扱いてもいいけど、ティッシュもハンカチもない。借りものの車だから積んでいるはずもない。最悪、服で拭うとか? イカ臭い匂いを撒き散らしながらドライブ……、気が萎える。それにこいつの前で一人エッチって――!! 無理無理っ、ぜったい無理ーっ!!
BACK | NEXT | INDEX
Copyright (c) 2008- Magical S0up All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-