HAPPY SWEET ROOMT------03 太陽はオレンジ色

HAPPY SWEET ROOMT

03 太陽はオレンジ色

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「今日はなにか予定はあるの?」
俺はあらかた食事を終えて残った紅茶に口をつけながらアンテロッセに尋ねた。
「とくにはないが、あえて言うなら今から家事をして午後から少し仮眠、それからクラブへ直行といったところかな……。セイタは?」
「俺? 俺もこれといってないなぁ。あー、でも生活用品で足りないものがでてきたら買い物に行かなきゃね。ロッセはなにか要るものある?」
そこでなぜかロッセは嬉しそうに目を細めた。なんだなんだ不気味だぞ。
「なに笑ってんの」
「そりゃ笑いたくもなるさ。自分で言っておいて気づかないのか」
「……なんか変なこと言ったっけ俺」
「私になにか足りないものがないかとか、要り用がないかとか聞いたじゃないか」
……それのどこが笑えるの。どうせ買い物行くんだから、ロッセの分もついでにと思っただけなんだけど。首を捻る俺を横目にロッセは不敵に笑った。
「だから、暗に私との同居を認めたんだろう?」
「…………あ゙、いや、そのー…」
ハハ…、やっちゃった。口の端がひくりと引きつる。
なんか普通に一緒に寝て、飯食って、会話して。まだ一晩しか経ってないって言うのに、さすがに寝起きはびっくりしたとはいえロッセがいることがすでに当たり前というか、ものすごく自然なんですけど。いまさらロッセにこの部屋から出てけーなんて言えないよなー。じゃあ、別にロッセがいたっていいじゃんって? それじゃ、未来の彼女との夢いっぱい幸せ同棲計画がオジャンでしょ。ロッセが女ならよかったんだけどね。だったら理想そのものなんだけどさ。
そんなこんな考えながらロッセを見れば、さぁどうするんだ、なんてやり返すんだと言いたげに、どう攻めてこられても対処しますよな感じで余裕の笑みをかましている。
俺は大きくため息をついて、渋々うなずいた。
「わかったよ、ここにいればいいよ」
「―――意外にすんなり承諾したな」
ロッセはおやと目を見開いた。そんなロッセをにらみ返す。
自分で俺のこと追い詰めておいてなに言ってんの。
「だってさ、ここってロッセの世界とのポートになってるんだろ? ていうことは、仮に俺があんたを追い出して女の子と住むことになったとしても、ちょいちょいあんたに顔出されると困るんだよ。もしその女の子があんたの麗しいお顔見ちゃったら俺速攻で失恋じゃん。かと言って引っ越しするにも金ないし、それなら賃貸料をもらったほうがいいかなーってさ」
「要するに、私の身体に味をしめたんだな」
頬杖ついたロッセが艶っぽい流し目を送ってくる。
味をしめた? 味をしめた……。味をしめただぁ!!??
「ちっがーう!!」
身体目当てだって言いたいわけ!! あんた俺の説明ちゃんと聞いてたのかっ!!
俺はテーブルの上に手をバンと打ちつけた。立ちあがった拍子に椅子が後ろにひっくり返る。
「顔が真っ赤だ。やっぱりそうなのか」
怒り憤まんの俺に対してロッセは余裕綽々というか完全に面白がっている。
「照れでも羞恥でもなく、怒りで、だよっ」
「そうか? いまさら隠さなくとも所望とあらば、いつでもお相手つかまつるぞ」
「妙なニホンゴ話すな!!」
「いいや、私は本気さ。実際セイタとは相性がいいしね」
「相性言うなっ」
「同居でよかったが、セイタがどうしてもと言うなら、もちろん、私は同棲でかまわない」
「あのねぇ!! ひとの話聞けってばっ」
「どうしてそう反発するかな。もしかして相性を疑っている?」
「はぁ?? な、なな、なに!?」
ロッセは急に目の前まで歩み寄ってきて俺の腰を抱いた。慌てて距離を取ろうとするけれど、背の高いロッセに高い位置で腰を引き寄せられて、爪先立った足が不安定で逆にしがみついてしまう。
わたわたする内に紫色の瞳が近づいてきて……。こころを持っていかれそうになって思わずぎゅっと目をつむった。
「ん……」
途端に言葉を失う。
「はぁあ、んっ」
だからあんた上手すぎなんだってば。ほんと味しめちゃったらシャレにならないよ。
「セイタ…」
なんだよ。
またキスされる。
「気持ちいいだろう」
わかったような口きいて…。でも、悔しいけど気持ちいいんだよなぁ、うん。
またキス。
「私のことは嫌いじゃないだろう?」
これも、悔しいながら嫌いじゃない、うん。
またまたキス。
「昨日のセックスも嫌ではなかったはずだ」
……………。
キス。
「肯定しないのか。ならば無理やりにでも思い出させるぞ」
……………。
耳にキス。
―――っ!!! パンツに手突っ込むな!!
やだやだやだっ、そこやだっ!! そんなとこ触んないでよ!! ああん。
「ほら、こうすると喜んでたな。指先で縁を辿れば……、前が涙を流し始める」
昨日さんざんソコでやっただろ!! ……ああっ、だめだよぉ。ただでさえヒリヒリしてるのに、余計なんか―――。
「かわいそうに、少し腫れてるな。だがそれが却って……感じるだろう?」
はぁあ、からだがビクビクいって止まらな……い…。
「この体勢だとあまり弄れないな……。とりあえず椅子に座るか」
―――な、なんなの。なに手を広げてるの。
「私の膝に座れ。あぁ、その前に―――」
え? やだっ。なにパンツ脱がしてんの!!! あっ、ゴム引っ張んなぁ!! ちょっとこけるって! わかった、わかったからっ。
「こら暴れない。いい子だから大人しくする。私の腰を跨ぐように……、そうだ」
この格好やだよ……。誘ってるみたいじゃん俺。丸見えだし当たってるし……。やだって、そんな腰押しつけられたら、ますます濡れちゃうから。だめだって…。
「腰を支えてあげるから……。私の身体に擦りつけるように上下に動かして」
あ、あ、あ……っ。
「気持ち良さそうだな。―――そんな目で見ても煽られるだけだ。それとも物足りないのか? 後ろは私に任せて……。座ったからちゃんと奥まで指が届くから」
「お、奥って―――。あ、ああああああああっ!!!」
「おっと、首に掴まれ。……身体をそったら、まるで差し出されているように見えるな」
差し出すって―――? んっ!! むむ胸、舐めないでぇ…。やだ、そこ、もう、気持ちよすぎて。ああああっ、ゆゆ、指を中で動かすな! 腰が、腰がぞくぞくするっ、やめて、わけわかんない。あ、あ…。
「慣れてきたか? もう少しキツクするぞ」
「キ、キツクって!!! もう無理、無理だからっ。だめっ。やだよぉ。う、うぁ、ああああああん」
口はなして、手もはなして―――!!
「いい反応だ。身体はしっかり昨夜を覚えているな、こんなに濡れて」
「ロ、あ、あ、…あん。ロ…ッ、やだ、そこ、だから、ロッセ――ッ、はぁ、ぁあんっ」
「もっと?」
あ、にぎっちゃやだよっ、うご、うごかさないで。ぐちゅぐちゅいって、は、恥ずかしぃ…。つ、つ、爪、立てるんじゃ、な…い。やだぁ、やだよ。
「ち、ちがっ、う、ぅあっ」
「射れてほしいとか?」
「……くないっ」
「無理だよセイタ。もう逃げられない」
「はぁ…、出て、く…る……」
「やわらかいな、ここは……。それに私のがまだ残っている。言っただろう? 催淫剤のようなものだと。だから止められないんだ」
前も後ろも胸も、場所は別々なのに、か、快感はいっぺんに押し寄せきて―――っ。もう、だめだよ、ロッセ。み、認め、ああああっん、ん!!
「ま、ま、やぁだっ、押さないでっ!! ちょ、あああっ、ロ…、ロッ、セ……ッ」
「ん?」
「どっ」
「ど?」
「あっ、手、手を、とめ、」
「できない」
「っ、ちが、ど、どう、き、きょ」
「同棲?」
「う、うん、うん、ああん!!」
「同棲が?」
ぜ、ぜったいワザとだ!! 俺がなかなか答えられないの、分かってて、いじわ、るぅ……。はぁああ、手、手ぇ!!
「ゆ、ゆるっ」
「ゆる?」
「っ、す!!」
「了解」
「え、あの、ロッ!! 手、そんなに、いや、やめて、てば、あ、あん―――!!!」
からだがガクガク壊れたみたいに震えて、凄まじい解放感に頭ん中が白一色になった。胸に生ぬるい飛沫がはたはた乗っかる。
はぁはぁはぁ…。
息も絶え絶えにロッセの肩に頭をことんと置いた。額を通って汗がシャツを濡らしてゆくのをぼんやり見つめる。
っかれたぁ…。
「も、手、放して」
心臓がばくばくしてるわ、横隔膜フル稼働だし、肺が苦しい。
「泣いているのに?」
「……泣いてなんか」
汗はだらだら流れているけどね。というか、泣いてるから手を離せないってどうゆうこと。
「涙でぐちゃぐちゃだ。舐めとるのが男の役目だからね」
「だから泣いて、って、わ、こ、今度はなに!!」
ロッセはひょいと俺を抱き上げた。ソフトマッチョな身体には造作のないことで、まるで自分がぬいぐるみにでもなった気分。そのままベッドにぽとんと落とされた。
「ロッセっ!」
「これは舐めがいがある」
「だから……っ。ロ、ロッセ?」
ロッセは横たわった俺の腰をぐいと引き上げて、自分の肩に両足を引っかけるように乗せた。
そして―――――。
「い、いやだぁああああああああっ!!!!」
さっきイッタばかりのそこをぬるりと口に含まれた。すっぽり包まれて熱くてうねるようで、あまりの感覚に勝手に身体がぶるぶる震える。
クチュ、クチュ……。
舐める音やロッセの息使いなんかも聞こえてきてたまらない。逃げ出したいのに腰はしっかり抱えられてるわ、身体に力が入らないわでうまくいかなくて。あんあん喘ぐばかりで、跳ねた身体がロッセに腰を突き出す形になって、むしろ強請ってるみたいで居たたまれなくなる。
昨日より幾分しつこいような気がして、顔を覆った腕の隙間から恨みがましく覗いたら、ロッセがにこやかに微笑んだ。
「同棲記念だ」
「なんだよ、それ!! あん、あああっ」
………もう充分だから。あんたには負けましたから。も、やめて。お願い……。
放してってばぁあああっ!!!
結局それから何度もイかされて、やっと二度目に起き出したころに見たのはオレンジ色の眩しい西日。
なんだか納得いかないまま、こうしてロッセと俺の同居(≠棲)正式契約は交わされた。
男に腕枕される俺って……、まず最初は女の子にしてやりたかったよ―――。
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